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上州小料理屋 任侠気質(カタギ) [居酒屋]

蒼白い店構え1.jpg
蒼白い店の前に立って中を覗いたら、オッチョコチョイのスタッフAさん(仮称)とバッタリ目が合った。
Aさんはとびっきりの笑顔で嬉しそうにこっちに歩いて来て、どうぞ入ってください入ってください。。。
かつて何回も座ったカウンター奥の席に。。。
「今日は天然ですみません」 (マスター)
天然もの?
この店は養殖ものは出さない店だが?
一瞬考えたが、マスターが言う天然とは魚の天然ものではなく、天然=Aさんのことです。
最初の膳.jpg
キンメ刺身.jpg
鰹竜田揚げ.jpg
西京焼.jpg
お店は忙しいらしい。
いいことではある。だけど失礼ながらそんなにお客さんがいないのに何故忙しいのだろうか。
夜ではなく昼に忙しい日が続いているというのです。
「昼に忙しい?夜の仕込みで?」
「会議用の仕出弁当なんですよ。お得意さんの会社のね」
以前からある程度の量で依頼があるとそういうのも受けていたそうだが、やってみると結構、大変なんだと。
「ウチは既製品を一切使ってないので。刺身は無理でも焼き魚、小さいステーキやエビフライか天ぷら、野菜煮物、御新香とか。一つの弁当にそれだけ入れるんです」
そ、それは凄いな。
「幾らくらい?」
「にせん・・・」・・・百円とか二百円だったかと思う。高級仕出弁当の趣である。
どんな仕出弁当か見てみたいものだな。

だが儲からないらしい。
煮たり焼いたり揚げたりの材料を全部揃えてチマチマ詰めて、手間暇かけても採算が合わないというのだ。
「エビも値上がりしてますし。。。」
へぇ。。。
でもその見返りとして、「その弁当を入れてる会社の人が夜にこの店に来るって効果は?」
「ありません」
「ないんですか?」
「逆なんです。普段、夜に来てるお客さんで日頃お世話になってるからって引き受けたんですが。。。」
「ああ、もともと夜に来てたのね」
「そうなんです。いつもお世話になってるからって引き受けたらそれが甘かった。一旦引き受けちゃったら最初の値段で中身の質が落とせなくなったんです」
妙なところで人気が出たものである。
炊き込みご飯ちょっとだけ.jpgお新香.jpg塩辛.jpg
私は弁当稼業ってのは儲かるもんだと思ってた。
巷にあるホカ弁とか、Hotmotとかは、例えばエビフライ弁当とかハンバーグ弁当、焼肉弁当や生姜焼弁当とかのメダマになるおかずの弁当なら簡単で儲かるのではないか。幕の内みたいに品数多いわけではなくむしろ単品に近いし。
「そっちの方が儲かるんです。焼肉とご飯、エビフライとご飯、キャベツの千切りと御新香だけでいいんだから」
今、受けている仕出弁当は薄利のうえに、現金でなくってカード支払いになると手数料がかかるので、殆ど儲けにならないというんだな。
でもやらなきゃならないんだと。
処理済~いい笑顔なんです.jpg処理済~目が真剣.jpg
儲かる儲からないの話はさておき、この後、Aさんと上州のヤ〇ザ談義になった。
「昔からヤ〇ザが多いから・・・」
「ヤ〇ザというか侠客でしょ?」
「木枯し紋次郎とかね」
「木枯らし紋次郎?」
それは架空の人物。実在して有名なのは国定忠治でしょうが。。。
木枯し紋次郎.jpg
名月赤城山.jpg
国定忠治は一家があって親分子分の世界だが、木枯らし紋次郎は孤高の渡世人なのでちょっと違うように思う。では上州にヤ〇ザというか侠客が多かったのは何故か。

生糸生産が盛んな土地で女性が稼ぎ頭だったが、それに対して暇を持て余した男が博打をするようになったのが発端だそうです。
江戸時代後期に農村の仕組みが崩れたからだともいう。江戸川水運で物資が集まり河川と街道が賑わい、商品経済の発達によって農民や農村の仕組みが緩んで純粋な農民でなくなってきたのである。

末期になると特に天保年間、不作や飢饉による人口流出や農作物だけでは食えない農民の日雇い出稼ぎの増加によって他国から流れてくる者が増える。
金があるところには人が集まるが、中には怪しげな輩も多く、流れ者イコール無宿者で、その中には農民を困らせる強請たかりの喰い詰め物浪人がいたり、他国から逃走中の大物が紛れ込むようになる。

幕府は無宿者の取締りや治安対策の為に関東取締出役、八州廻りを設置したが人数が足りない。彼らは出先の村々、組合のようなものから地元民に協力させるが、関東は幕領(天領)と大名領、その飛び地、替地が複雑に入り組んでいて取り締り難かったのもある。だから潜伏し易い。

強く取り締まろうとしたら自警の目的で親分子分の関係が発生し、遊侠の徒が現れる。己の身は、財産は己たちで守るというもの。
特に武蔵、上野、下総、常陸辺り。利根川水系に多い。
利根川筋の遊侠については天保水滸伝などで困窮した民衆を救う英雄のように脚色され、講談や芝居に持て囃される。

銚子湊の五郎蔵。
佐原の喜三郎。
笹川河岸の繁蔵。
飯岡の助五郎。
万歳村の勢力富五郎。
(繁蔵、助五郎、富五郎の舞台は千葉県の東庄町辺り、最寄駅はJR成田線の笹川駅)

武州では有名な新門辰五郎、小金井小次郎。

そして我が上州では、超有名な国定忠治、大前田英五郎、日光円蔵。。。
国定忠治の本名は長岡忠次郎というのだが、生地である上州国定村に由来する。天保大飢饉で農民を救済した侠客として脚色される。
時間があれば旧跡を訪ねてみたかったがそこまで及ばなかった。
ガラガラ.jpg
店ん中はガラガラである。
私もジャン妻もそこそこ腹に収まった。でもマスターとAさんは仕込みの手を緩めない。他に誰も客がいないのに何を仕込みしてるのかと思ったら、「明日も仕出し弁当の注文があって。。。」
何処の会社の弁当か知らんが、営利殆ど度外視して薄利で注文受けちゃうマスターにも上州の親分の血が流れてるのだろうね。
処理済~息もピッタリ1.jpg処理済~息もピッタリ2.jpg
蒼白い店構え2.jpg
「自分もだんだん身体が動かなくなってきてるんで。前は一度に二つ三つ同時進行でさばけたんですが最近は忘れちゃったり。この間なんか、刺身を切りながらもう一品何かやってた筈なのに忘れちゃって、焼いてたアナゴ一匹ダメにしました。」
ダメになったアナゴ一匹は弁当ではなく店のお客さんに出すものだった。再度その分、焼きなおしたそうだが、仕出弁当には焼き物揚げ物煮物、いろいろ入れなきゃならないし、20食とか30食とかになるとマスターひとりではできない。おっちょこAさんや、今日はいないしっかり者のBさんの手伝いが不可欠だという。
「マスターは介護が必要なんで[わーい(嬉しい顔)]」(Aさん)
「ひとりでは無理です。量が多くて2人とも来て貰った時があって。それでいてウチは労働組合が強いからさぁ」ってボヤきながらマスターは豪快に笑うのであった。
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コメント 2

ショウ

ジャンさん、こんにちは
大将、元は新潟の方なんですけどね~すっかり上州人って感じですね(笑
この写真でAさんとBさんの区別が付きました(何となくは分かっていましたけど)
高崎祭りの時に行って以来、訪れていないので年内に、何とか行きたいとは思っているんですが・・・

そうそう、私の所のタイトルを使われるのは、何の問題もありませんので大丈夫です!例の坂の下の件ですかね?

では、これから高崎へ行って参りますσ(・・。)今宵は新規開拓をしようかと・・・
by ショウ (2013-10-26 17:08) 

船山史家

ショウさんおはようございます。
こんな刻限にもう起きております。さきほどUPした記事でそちら様のタイトルを借用させていただきました。
この店は何といってもキンメの刺身&アブラボウズ(タラ)の西京焼が美味しいです。揚げ物はカツオの竜田揚げでございます。
この店でイカの塩辛に目覚めました。
店頭にふぐなんてあるから敷居が高いと思われがちですが・・・あれ?今、気付いたんですが店頭にふぐがないですね。5000円宴会ノミホになってるぞ?
私の部下(女性)も行ってるんですが高級割烹と誤解したみたいで入り難かったそうです。何処が高級じゃい?全然そんなことないよって。
昨夜は何処へ行かれましたか~?
by 船山史家 (2013-10-27 05:41) 

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